育児と介護に不安はありませんか?お悩みを解決します。 サイトマップ
インデックスページへ戻る
会社案内
掲示板
メールマガジンへ登録
メールマガジンのバックナンバー
お問い合わせ
メールマガジンバックナンバー

[2007/05/07] 田中君を探して〜パパとぼくの冒険〜第5章41 

パパは、それを受取り、じっと見た。
それは、ノートを半分にしたぐらいの大きさで、かなり汚れていて、ポルトガル語
らしき字は、水でにじんでいて読めにくかった。
フロントにいた平井先生と田宮さんがパパのほうへ来た。
田宮さんは、「ぼくに見せてください」と受取り、しばらく見つめていた。そし
て、ゆっくり読んだ。
「『(   )られている。6人と人間と1匹の猫。キリストとボンジアスーカル
の角度(  )』」。
肝心なところが読めません。角度の後は、50か60のようですが」と、二人を見
た。
パパは、「これは、悠太が書いたのでしょうか」と聞いた。
「いや、これは大人の字ですね」田宮さんは、なんとか読めないか、もう一度紙切
れを見ながら言った。
ママたちも集まってきた。
「何かあったの?」
「ゼジニョが、今日探しているときこんなものを見つけたと持ってきてくれたの
だ」
ママは、ポルトガル語の意味を田宮さんから聞き、「まあ、どうしたらいいのかし
ら」とつぶやいた。
「デデが、林の中で、ナイフを見つけて、これで包んでポケット入れていたんだ。
帰って、おれたちに見せてくれたとき、この紙切れに何か書いてあるのを見つけ
て、すぐに持ってきたんだ」と、遅れたことを弁解した。
「ゼジニョ、ありがとう。これで事件が解決するかもしれないよ」と、パパは、ゼ
ジニョをなぐさめた。
「そうならうれしいよ」
「デデは、どこで拾ったかわかるかい?」
「わかると思う。明日は、もっといいナイフが落ちていないか探そうと言っていた
から」
「じゃ、明日も来てくれるかい?」
「もちろん」
ゼジニョは急いで帰っていった。
「どうしましょうか?」パパは、平井先生と田宮さんに聞いた。
「明日できるだけ早くいきましょう」と、平井先生が言った。
「そうしましょう。でも、もしギャングでもいたらたいへんだから、カトウさんに
連絡をしたほうがいいかもしれません」と田宮さんも、自分の考えを言った。
パパは、すぐにカトウさんに連絡をした。
しかし、カトウさんはいなかった。パパは、「大事なものが見つかったので、すぐ
に連絡がほしい」と伝言した。
その晩11時にペンションに電話があった。カトウさんだった。
「連絡が遅れました。夕方、あのファベーラへ行って、老人に話を聞いてきまし
た。
やはり、それ以上わからないとのことだったので、他のファベーラを当たっていま
した。
ところで、何か見つかったんですか?」
パパは、紙切れの説明をした。
「そこを調べましょう。それじゃ、明朝6時にペンションに行きますので、いっし
ょに行きましょう」
パパたちは、朝4時に起き、カトウさんを待った。外は、まだ薄暗かったけど、だ
んだん明るくなっていった。
6時に、4台のパトカーと一台のワゴン車が来た。ワゴン車には、10人近い警官
が乗っていた。
パパたちは緊張していた。カトウさんは、すぐにその紙切れを見た。
そして、私たちは、全力で捜査しますと挨拶した。みんなで分乗してコルコバード
に向かった。
その頃、1台のパトカーは、ゼジニョたちを探していた。
しかし、どこで寝ているかわからなくて、パパたちが、コルコバードの丘について
からも、なかなか来なかった。
新聞記者やテレビ局のスタッフも集まってきていた。
しかし、ようやくパトカーが来た。パトカーからは、ゼジニョとリカルドと、そし
て、デデが下りてきた。
3人とも緊張していた。警官に追われることはあっても、こんなふうに扱われるこ
とはなかったからだ。
カトウさんは、「それでは、今から捜査します。
しかし、現場には、ギャングがいることも予想されますので、女性や子供は、警官
と、ここで待っていてください」と説明した。
3人の子供とパパたちは、カトウさんら警官とともに、紙切れが見つかった場所に
向った。
デデは、かなり迷ったが、何とかその場所を教えた。
警官やパパたちが、そのあたりで、他に何かないか探した。
一人の警官が、何か書いてある紙切れを見つけた。
そして、「『パパ、ママ、ぼくを助けて。ルーカス。キリストとボンジアスーカル
の角度60度』と書いてあります」と興奮して読んだ。
「ルーカスか!悠太も、そこにいるんだ」パパは一人考えた。
カトウさんは、「文章の後半は、大人の字ですね。
角度は、60度でまちがいないようです」と、紙切れを丹念に見ながら断定した。
しかし、測量器で測ると、そこは、80度あった。
いったん、みんなが待っているところへ帰ることになった。
ママたちがいるところは、もう5、60人の人が集まっていた。
この捜索のことが、テレビのニュースで流れたようで、捜索に協力したい人だけで
なく、行方不明になっている人の家族も集まっているらしい。
カトウさんは、新しい紙切れが見つかったことを、マスコミの取材に応じた。
「詳しいことは、捜査が終わらないうちは発表できないことになっているんだが」
と前置きしてから、「ルーカスという子供も誘拐されているらしい」と言った。
すると、きゃーという女の人の叫び声が上がった。みんなそっちのほうを振りかっ
た。
その女の人は、顔を手でおおって、「ルーカス、ルーカス」と泣きながら叫んだ。
その横にいた若い男の人が、その人を抱きしめながら、「ルーカスは、ぼくらの子
供なんだ」と大声で言った。人々はどよめいた。
「長い間行方不明になっています。どうぞ助けてください」と、男の人は、涙声で
カトウさんに言った。
パパは、その夫婦のところへ行った。そして、「大丈夫ですよ。ぼくの子供もここ
にいます。
あなたも、いっしょに探しましょう」と言った。
警官とパパたちは、その男の人を加えて、再び、林の中に入っていった。
途中で、キリスト像とボンジアスーカルの角度60度を測った。
そして、60度線を、岩場の端から、両側2,30メートルの範囲を探すことにし
た。
小屋らしいものは見つからなかったが、紙切れは、あちこちから見つかった。
しかし、字はにじみ、ほとんど読めなくなっていた。
里程標のようなセメントの塊があったので、警官がなにげなく動かすと、がたっと
いう音がした。





ページのTopへ
Copyright (c) 2004 MAM CORPORATION All rights reserved.